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昨日は、山口学芸大学で特別支援教育(肢体不自由)の集中講義でした。
対象学年は4年生。来年度には先生になっていく学生です。

私の担当は90分×5コマ。
もう一人の講師と合わせて15コマなので、歴史と理論はそちらにお任せし、私はひたすら実際を見据えた実践です。
午前中は認知発達の流れと指導法を演習方式で行います。
次に正運動発達をビデオで見せた後、午後は実際身体を動かし、反射反応のこと、よく使う用語、身体のしくみ、脳性まひ児への支援。
最後はポジショニングからめ、摂食指導。
食べる機能の発達段階と、指導法を実際食材を使いながらの演習。
医療的ケアの必要な子どもは多く、その対応の仕方を学ぶことは大切ですが、何より支援の方法がまずく、医療的ケアの必要な子どもを作らないことが大切です。
だからきちんと指導法を身に付けるように伝えました。
上を向いて、意に反して食べ物が飛び込んでくる体験をしてもらい、支援の仕方で食事が苦痛になることも伝えました。

山口に来て25年になりますが、どれだけ、子どもの味方が増えたかわかりませんが、伝え続けなければとあらためて思いました。

できるだけ多く具体的な指導法を見せ付けておき、専門性がなくてはできない仕事であることを伝え、意識を高めます。
そして、自ら学びたいと思う気持ちを育てます。
現場は、呼ばれない限り何が行われているのかわかりません。ブラックボックスのように感じる時もあります。
与えられた仕事の中では、学生の意識を高めることしかできません。
子どもの限られた学校生活が充実したものになるかどうかは教員の質次第だと思います。


先日、定期的に行って25年になる山口特別支援教育臨床研究会を開催しました。
特別支援教育臨床研究会とは、特別支援教育に関心、興味のある方なら職種を問わず、どなたでも参加できる会です。
様々な立場の方々と一緒に研究会を行っています。

今回の課題提供は、特別支援学校2年目のA先生です。
初めて算数の時計の指導をすることになり、子どもの実態把握、算数の指導法がわからずやってきたが、果たしてこれで良かったのかという内容です。

保護者参加の中、まず、教員の立場であるにもかかわらず、わからないことが言え、学ぼうとしている姿勢があることを誉めました。
学びに積極的なそんな先生が増えることを願い、保護者の方は責めることなく称賛。

とはいえ、何をどこから伝えるか、とても2時間では伝えきれないと判断しました。
そこで、白紙と付箋紙を持ってきて、参加者に配布します。
それぞれで時計の学習に必要な力、そして、時計を教える前に付けておく力を書き、KJ法(※1)で分類します。
全員でワイワイ!!
お母さん方はさすがセンターで鍛えられているだけあって鋭いです。
最後に虹とおひさまの教具を紹介し、時計のマニュアルを配り、参加者のO先生の自作教材の紹介しました。
何とか2時間で終わり、A先生にみんなで作ったまとめの模造紙をプレゼントしました。


私が教員1年目の年、名前だけの教員がイヤで、あちこち研修に行ったことも話しました。
働き方改革で、教材を作ることや自主研修を奨励されなくなった時代ですが、子どもファーストでなければならないのに、何かおかしいと感じます。

(※1)KJ法とは

考案者の川喜多二郎氏の頭文字からKJ法と言われています。
収集した情報をカード化し、同じ分類のものをグループ化することで情報の整理や分析を行うものです。
あるテーマに対して、参加者が自由に意見を述べた(ブレーンストーミング)情報を整理する場合に用いられています。


当センターで考案した学習用時計の教具



18年間続けていることがあります。
外部専門家活用の立場で島根県立益田養護学校へ訪問していることです。
事前に相談のお子さんの学習状況を送っていただき、センターから教材を準備していきます。
長年訪問していると、お子さんの名前だけで顔が浮かび、前のやりとりが浮かんできます。

子どもたちの成長を感じ、ひたむきに取り組む子どもたちからエネルギーをもらっています。
連続5人の指導+担当教員へのレクチャーであっという間の6時間です。
合間の食事は10分で済ませ…でも不思議と帰りの2時間程の運転は疲れを感じません。
私にとって、子どもとの学習は本当に楽しいものです。

あやちゃん(現在4先生)

1年生の時から指導させていただいています。
ずっと言い続けていることは、運動障害があっても、知的には学年に準じた内容をやれる子どもであり、将来高校卒業後の生活も視野に入れながら、選択肢を狭めないように、ということです。
たまたま、担当の先生がお休みで、教材も用意していなかったので、虹とおひさまの教具を使いました。

今回の相談内容は「算数のくり上がり、くり下がりの指導法」でしたので、まずはそこからです。
自作プリントでやり方を伝えたらできるようになりました。
4位数まで入っていること、お金は等価に入っていること、そして、時計も。
通常の1、2年生の内容をやってはいるが、先生の方が系統立てに悩んでいることが窺われました。

教え方により、くり上がり、くり下がりが念頭でできるということは、量概念が備わっていることが確認できます。
それならばと、1円10個と10円の等価を、虹とおひさまの教具で教え、1円5個と5円が同じことを教え、5円と5円が10円になることを「等価」と「2イン1」の教具で教えました。
その後、あやちゃんに、等価のセットを使い、ひとりで必要数を作ってもらいました。
10円50円100円の関係も同様に行いました。
まとまりがわかったならば、できる!


等価(使用例)

等価セット(使用例)


次にかけ算に挑戦です。
今回の春セミナーでプレゼントする教具を使ってみました。かけ算の意味を教えるのにとても有効でした。
まず、「ずつ」のことばの理解。
20個の小さいマグネットを渡し、「2個ずつ」かたまりを作り、小さな透明の箱に入れることをしました。
入れ終わった後、箱の数と、透明な箱に入ったマグネットの数から、固まりが1つ、2つ…と数えて、セミナーで使う教具に対応させながら、数字を書いてもらいました。


40分の授業、疲れたと思います。
後で、先生が感想を聞くと、「新しいことをやったよ!」と言っていたそうです!

小学校では、教科書が一つの筋道になっていますが、支援学級、支援学校では、子どもの力がどの辺りなのか、実態把握と学習課題の組み立てで悩んでいる先生が多いように感じています。
だから、毎年、教える内容が変わったり、先生の価値観で決めてしまうことも考えられます。
虫食い的に課題を行い、系統的に積み重ねていかないと学びとはなりません。
今回のお金の指導場面を見ていただき、そして、ビデオに撮っていたので、他の先生方と共有することで、できていく過程が伝わったのではないかと思います。

お知らせです!

小学校低学年~中学年の支援学校・学級等の指導担当者様、保護者様を対象に学習指導法のセミナーを年2回実施しています。
講義と演習を組み合わせたセミナーで、実際の指導法をそのまま学ぶことができます。
今、学んですぐに活かせる!セミナーです。
今回のテーマは「かけ算・わり算の教え方」です。かけ算、わり算の意味からひっ算までを講義と実践でしっかりと学ぶことができます。
詳細/お申込みは当センターのセミナー情報をご覧ください。

3月21日(土)開催 春季セミナーはこちらへ


今日から2月ですが、今回は1月のキッズの教室の昔のあそびをご紹介します。
特にお正月のあそびには、いろいろな要素があります。
コマ回しは、指先を使います。同時に集中力も...。
おはじきは、目標に向かい集中しながら、微妙に力の配分をしてはじきます。
いつもは賑やかなキッズメンバーも、この時は誰もが集中し、目の前のおはじきが当たるまで何回もチャレンジしていました。
集中力と共に持続力、当たった時の達成感を味わえます。

面白かったのは、福笑いです。
ひとりが目を閉じ、ひとりが誘導する。
見えるものに強い子どもたちは、相手が見えないことを忘れ、「ここだよ」と指差し、最後は手を取って誘導していました。

「そうか、福笑いは相手の立場になって伝えるツールにもなる!」ふと、サリーアンの話を思い出し、お母様に伝えました。
「相手の立場に視点を置き換えることは、この頃の子どもたちには難しいですね。」と...。
でも、とても役に立つあそびにもなっています。

昔のあそび、恐るべし!よく考えられていますね。

さて、サリーアンの課題をご存知でしょうか?
登場人物は2人…サリーとアン。
サリーは自分が持っているバスケットにボールを入れて、出かけてしまいました。
サリーがいない間に、アンはサリーのバスケットからボールを取り出して、アンの箱に入れて出かけました。
そこへ、サリーが帰ってきて、ボールを取り出そうと、探すのはバスケット?それとも箱?という質問です。

4歳未満の子どもは、「箱の中を探す」と答えることが多く、4歳以上の子供は「バスケットを探す」と答えると言われています。

これは、4歳未満の子どもはまだ自分を他者に置き換えて考えることがまだできないからです。
つまり、サリーの立場ではなく、自分が見たものを選んでしまうからです。


新学期になると「役員」決めがあります。
振り返ってみると、私は学校の役員を数年やりました。広報部長は5年連続です。
長女が小学1年生の時にはクラス役員をしました。
小学校は様々な園から集まり、長女の通っていた園からは二人だけでした。

同じクラスの子どもの名前と保護者同士の繋がりを持つためには、先生と話す機会を多く持てる役員が一番だと思いました。
入学式の後の集合写真のデータをいただき、そこに名前を入れたものを作り、学級活動の際にみなさんにお渡ししました。
親同士アドレス交換し、情報共有できるようにしました。
高学年になり、広報部長として、堂々と学校に入り、活動場面を撮影し、我が子の様子も見てきました。

園と学校との大きな違い、それは、園よりも担任の先生と話す機会がグッと減ることです。
連絡帳がツールになっていきます。緊急の場合や何かあった時には電話がありますが、その時は先生も受ける保護者も、通常の気持ちではないことが多いです。

いつも挨拶できる関係、何気ない会話ができる関係を作っておくと、何かあった時にも冷静に話せます。
そんな関係作りを心がけてみませんか。

役員になることだけではありません。
私は行事の前後には、必ず、連絡帳で担任の先生への労いの挨拶を欠かしませんでした。
「明日は暑くなる様子、先生方も大変でしょうが、よろしくお願いいたします。」
「今日は暑い中、先生方お疲れ様でした。帰って来た子どもがたくさん話してくれました。明日も学校ですが、先生方お疲れが残りませんように。」などなど…。

先生も人間です。
行事は、大切な子どもたちを預り気持ちが張り詰めることも多いです。
元教師でしたので、わかります。

ほんの少しの労りの気持ちが、保護者と先生との距離を縮めますよ。


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電話番号:0835-25-8808