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日々、指導者として子どもたちと関わっていますが、私自身も二人の子どもの母親です。
平成7年3月につばき教育研究所の分室として個別指導をスタートし、平成9年に長男、平成12年に長女が誕生しました。その長女も今年の4月に大学進学のために、地元を離れ一人暮らしを始め、私もふと立ち止まって子育てを振り返る時期になりました。

以前の記事でもお話したように、書店に並んでいるような成功例を綴ることはできませんが、時に笑い、時に悩み反省し、時に泣いたそんな私の子育てから、皆さんのそれぞれの立場で、何か考えていただけるきっかけになれば、幸いです。

長男のことば

つばき研究所やまぐち分室を立ち上げた翌年に長男が誕生しましたが、すでに40名を超える子どもたちの指導をしており、自宅の1階でシッターさんに見てもらいながら、2階で指導をする日々の繰り返しでした。

お腹の中にいるときから障がいを持った方と一緒にいてあたり前の環境のためか、まだ学校に入る前、私に「なんで5年生なのに歩けないの?なんで字が書けないの」と聞いてきたことがあります。
でもその後、私の返答の前に「わかった!ゆっくり楽しみながら勉強してるんだね♪」このことばにはビックリ!!でも嬉しかったです。

出会いに感謝

また、日本全国、毎年のように開催される学会や、韓国の学会にも連れて行ったこともありました。そのたび、ボランティアの学生さんにお世話になり、二人の子どもたちは幼い頃から、初めていく場所で会う人との交流が多かったです。

親子で色々な方にお世話になり、子育てをサポートしていただきながら、人間形成の基礎を築く幼児期から、多くの方との触れ合いが今の長男の成長に関わっていることは間違いありません。

幼児期の多様な関わり

幼児期から、多様な人と関わる機会を与えることはよいとされています。
子どもは、体験を基に、感情、感性、行動を身につけていきます。限られた範囲での関わりは、子どもの体験が乏しく、自分とは違う価値、感性の人に対して円滑なコミュニケーションがとりにくくなります。
つまり、幼少期から多様な人や場に関わり、それを楽しみ、多様な人間関係を構築することがとても大切ということです。

子どもたちが大人になるころには、今よりさらに変容していることが予想されます。グローバル化はさらに進み、日本人だけの社会ではなくなることでしょう。多文化の人たちとのかかわりも当然となります。自分とは違う文化、価値観や感性の人々と円滑なコミュニケーションが実現できる人でありたいものです。

幼い頃の人との関わり方を今活かす!

長男は、関西の大学を卒業し、その後、自分にしかできない研究テーマを追求するため関東圏の大学院へ進学しました。
連日夜中まで研究室でパソコンにむかって、四苦八苦しているようです。
研究は一人だけで結果がだせるものではありません。周りとの関わりがとても重要であり、横のつながりもとても大切にしていく必要があります。
まだまだ、知識としては浅く足りない部分も多いのですが、教授に何度も教えを乞い、プレゼンでは会場を巻き込み、やり切ったようです。
このように、自ら積極的に人との関わりをとりながら、時にこけながら頑張っている姿を遠くからみる役目となりました。


7月14日、15日に恒例の夏季セミナーを開催いたしました。
休憩時間を利用して、ご参加の方に少しお話をお聞きしましたので、一部ご紹介させていただきます。

病院に勤務されている言語聴覚士のお話

現在は飲み込みに問題のある成人のリハビリテーションをしていますが、10年前は小児も担当していたということもあり、その時に今回の講師でもある川間健之介先生の講演に参加しました。
今回は専門外の勉強も深めたいと参加しましたが、刺激的で面白くて、以前小児の指導を振り返り、構造的に指導できればよかったなと感じ、とても勉強になりました。

特別支援学校高等部の先生のお話

セミナー参加は前回の春セミナーから2回目です。
担当している生徒が春季セミナーのテーマでもある数の学習に困っている生徒だったため、今回のセミナーでも続きが知りたいと思い参加しました。
文章題の問題から式を立てることが難しい生徒がいるのでとても参考になります。
自分の専門教科以外の算数と国語という複数教科になるとどう指導するのが良いのか悩むこともありますが、参加してよかったです。

特別支援学級の担当の先生のお話

始めて参加しました。
分かりやすい説明で、子どもがつまずくところを事前に知ることができて、指導しやすくなります。

保護者の方のお話

始めての参加です。
家庭学習においてもとても参考になります。母親としてのメンタル面にフォーカスしたセミナーが多いのですが、今回のような勉強(学習)に関する具体的なセミナーはあまりないように思います。
こういったセミナーをご存じない親御さんも多いのではないでしょうか。

特別支援学級担当の先生のお話

3回目の参加です。
まず、指導方法を変えようと思いました。
自分の担当している子どもがまさに同じ問題をかかえていて、そうそう!とうなづけることをお話されるので、意義があるなと思って聞いています。明日からすぐにつけると言われていましたが、まさにその通りです。
これから夏休みになり、日ごろできない教材研究にも取り掛かる時期でもあり、二学期から使う教材づくりのきっかけになります。
このように指導者向けのセミナーは他にもありますが、当センターのセミナーと他のセミナーとの違いはありますか?
聴くだけのセミナーがほとんどですが、こちらのセミナーは演習があるのが特徴的です。
セミナーに参加すると、すぐに使えて持ち帰ることのできる教材付きなのがとてもいいです。

今回も50名近い、指導者、保護者の方にご参加いただきました。皆さん、子どもたちへより良い指導のためにと、貴重な休日を返上してご参加いただいています。
皆さん大変熱心で、頭が下がります。

次回は2020年3月の春季セミナーです。
随時、公式サイトやFacebookページでご案内いたしますので、チェックしてみてください。


今回は長年関わっている養護学校をご紹介します。

17年前から外部専門家として養護学校の学習、摂食指導をしています。
先生方は毎年担当が代わりますが、私は小学1年生からずっと見守れる立場であり、昨年のことを繋ぐ役割を担っています。

学習場面に入り、持参した教材を使ってその場で子どもができる場面を先生に見せます。
そして、学習の系統性を紙で説明し、次のオーダーを出して、少し先の将来像を伝えます。
毎年、子どもの担当が代わっても、教材と理論は引き継がれます。
小1からの様子を知っているので、私自身も子どもたちの成長を感じてうれしいものです。
その積み重ねで、先生方にそもそも論から話さなくてもよい関係ができていますし、いろいろな知恵を共有できます。

まず先生の指導を見て、代わり、アセスメントして課題を提示し子どもを変えます。
そして、先生にはその場で、指導の系統性から考える今の力と次の段階、具体的な指導法と教材を、簡単に1枚の紙に書き、オーダーを出して終わりです。

先生は子どもを導く指導者

どの先生方も自作教材でかかわるのが当たり前であり、目的を持って個別指導に臨んでいます。しかも、毎日同じメニューをこなすのではなく、次のビジョンを持って試行錯誤の中で、よりよい方法を模索している様子がみられます。だれ一人子どもを壁に向かわせて、できる課題ばかりさせている先生はいません。
確認のため、ひとりでさせていることはあっても、基本的なスタンスは指導者です。支援でなく、あくまでも、先生は子どもを導く指導者です。

高いレベルでの指導を実践

県内の教材のスペシャリストの先生が同行された際に感想を聞くと、「見に来ているからと即席で設定したものでなく、ずっと継続して指導されていることがわかる。」といわれていました。
子どもに対面でかかわり、常に子どもの視線の先を見ながら、次にどうなって欲しいかのビジョンを持って、指導法の質問が出され、説明に納得されています。すぐ理解できるだけの知識も十分に備わっています。

栄養士さんの姿勢

給食の栄養士さんの姿勢もすばらしいものです。その日のその子の状態に合わせた食物形態を提供するだけでなく、栄養士さんの方から学習食のことばが出るのは素晴らしいことです。

その場で子どもを変えれば、先生は変わる。子どもがわかれば、先生は変わる。
できる姿は驚きであり、無限の可能性を感じます。保護者の方も同じことが言えます。
そして、先生、お母さんが子どもを変えたと実感した時、先生、お母さんは、考え方も子どもに対する姿勢も変わります。そして、わかった子どもの表情が活力となり自信となります。

長年かかわっている養護学校では正の連鎖で専門性が高いと感じています。たくさんの方に紹介したい学校です。


最近、大学、専門学校でやり始めたこと

学習途中の子どもの困ったに即対応できるプリント教材の加工法です。
「指導者に教材製作を積極的に促すことは働き方改革の観点からもできないんですよ。」と特別支援教育の研究所の方から聞いたことがあります。
仕事を増やすからなのか、仕事に費やす時間を増やすからなのかはわかりませんが、文書作成より必要なことなのにと悶々とした中、やり始めたことです。
しかし、当センターでは指導場面ではあたりまえのことです。

厚生労働省の「働き方改革」の目指すもの(一部抜粋)

❝就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。 ❞

つまり、働く人々が意欲的に働け、将来に展望が持てることを目指しているということです。

先日、ある研修会で講演と分科会に講師でうかがい、早速、先生方に作っていただきました。
お題は「発達障がいの特性に応じた指導法、短時間で子どもが理解し、笑顔になる教材つくり!」
前半は国語の長文読解を題材に、子どもの困りを話し、後半の分科会ではひたすらプリント加工。
算数 橫式の2桁同士のたしざん・ひきざん 、筆算繰上がりのたしざん、単位変換
国語 漢字、文章読解、主語述語…
計、8枚のプリントを渡し、2人一組40分ですべて加工する!

最初は、困りながりも徐々に活発に楽しそうに制作されていました。
そうそう、これが本来の姿です。教えることは楽しいことと実感できます。
当センターの職員も、子どもがわかった瞬間が見たいために仕事をしているようなものです。

最後にお伝えしたこと、それは40分で8課題。
5分を惜しんで子どもたちも苦しい、先生方もつらい思いをしないでほしいものです。

労働時間だけにフォーカスして、本来の目標達成に必要な仕事を減らすのではなく、目標達成のために最善の方法で、それを丁寧に集中して行う方法、当センターで実践していることをもっと伝えたいですね。

ちょっとしたことですが、働き方改革に貢献できたのではないかと思っています。

最後にお知らせです。

当センターで例年指導に関わるセミナーを開催しています。
私たちセンターの職員は学習に困難な子どもたちの学習指導を長年続けており、そのノウハウを大学の講義とともに実践的な内容で行っています。
指導者の方はもちろんですが、保護者の方、将来指導者として活躍したいとお考えの方など、どなたでもご参加いただけます。
ご参加をご希望の方は、2019年7月開催の夏季セミナーの詳細をご覧ください。


子どもたちの気持ちになってみてください。せっかく紙に書いて答えたものを「間違っている」と指摘されて消されるのはかなりのダメージです。
では、学習に集中でき肯定感を実感しながら学習するにはどうすればよいのでしょうか。

否定しないでやる気が上がる魔法の教材

質感のある木の教材を使う

人は金属やプラスチック製品に触っている時より、木材に触れている時の方が脳が活性化し、血圧が安定してリラックスしているということがわかっています。
木製の教材を使用することで、安定し落ち着いて学習に取り組むことができます。

消さなくてもよい教材を使う

自ら問題に向かう気持ちを持たせる

指導者から「わかった?」を聞かれ、わかっていないにもかかわらず、「はい」と答えてしまう子どもたちはどこかでつまずいています。教え込むのでなく、子どもが「ハッ!」と気付く指導を行います。

学習の現状

学習内容が増え、「思考力・判断力・表現力」を要求され、以前よりも、どのように答えを導き出したのかを言語化することを多く要求されるようになりました。
算数・数学領域は系統性がある積み重ねにより理解していく教科です。
一つの単元を学ぶ時間が短い中、わからないまま次の単元をこなさなければならない状況を実感しています。

短時間でハッと分かる指導法が必要

子どもたちの笑顔が増えるためには、短時間でハッとわかる指導法を模索する必要があると考えます。
そのためには、かかわり方、教材の工夫、短時間で加工できる教材、目の前の子どもの困りの内容に気付く目・・・たくさんのことを指導者は要求されます。
ひとりで抱え込むのでなく、知恵を出し合う時にきているのではないでしょうか。
センターでも、セミナーWeb相談など、さまざまな方法を考えていきたいと思います。

【セミナーで学ぶ】教え込むのでなく、子どもが「ハッ!」と気付く指導

春季セミナーに引き続き、7月開催の夏季セミナーは「一年生のつまずきが算数嫌いになる!?算数の学習 たし算・ひき算・くり上がり・くり下がり・文章題まで」をテーマに実践的形式の学びの場です。


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電話番号:0835-25-8808