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昨日の小学校3年生のお子さんとのお勉強での話

あまりって?
先週、虹とおひさまのかけ算の教材で、10÷3で、10の中に3のかたまりがいくつあるかを学習しました。
そしてはみ出した数をあまりとして、とにかく計算はできるようになりました。
昨日も、計算用紙を出すと、ぶつぶつ九九を唱えながら、被除数を超えない数を見つけ、差の数をあまりとして答えることはできました。
じゃあと、複数枚の皿とおはじきを出し、『28÷4を教えて』と問うと、手が止まります。

4個ずつ分けてみようと(包含除)、分けていくと、7つの塊に分けられた
じゃあ22個ならば?『1個はみ出るよ』
じゃあ23個ならば?『2個はみ出るや』
→そうそう!!
このはみ出しを『あまり』って言うんだ !

次は28個のおはじきを飴にみたて、4人の子どもに分けてあげよう!(等分除)
4枚の皿にどう入れるかと見ていると、まとめて3個にしたり5個にしたりしながら、『同じ数にならないなぁ』と...。
わり算の最初に、ひとつずつ皿に入れていくことを伝えたのを忘れていました。

『うーん、同じにならないなぁ』とあれこれやりながら、7個になり『やったぁ!』
足してごらんと、お皿を指差すと、7+7=14、+7…『そうか!かけ算じゃん』と気付きました。
『じゃあ、29個を分けてみて』と4枚の皿に7個ずつ分けると1個余る。
『これを、この子だけにあげたら、他の子はかわいそうだね』30個もだね。33個も34個も。
『35個ならば、みんなにあげられるね。けんかにならないぞ!!』とぶつぶつ言いながら操作しています。
→そうそう!!
同じ数だけ渡せるまで、そこに貯めておいた数を『あまり』って言うんだ!!
昨日のひとコマでした。

計算力と文章題を解く力は違う

かけ算・わり算を生活で使えるための文章題ならば、プリントや教科書の問題を具体物で教えるより前に、子どもの生活の中から教え方を工夫することが大切だと思っています。

◎指導で使用した教材

「かけてみよう」は虹とおひさまサイトでご紹介しています。


部屋に入り準備していた教材を見るなり
『こんなにでき~ん!…時間がなくなる!…』と大声で泣き叫ぶA くん。
『ここから選んでいいんだよ』と言ってもおさまらない。

視覚情報の処理とワーキングメモリーの弱さから、短時間で終わる課題も果てしなく時間がかかると感じる。
でも、ブロックは難しいものでも、取説見ながら作り上げる、もの凄い能力がある。
ブロックは、見ただけで短時間でこなせると判断できるメタ認知があるが、学習は書字の困難さからか、短時間でできる課題として用意したものでも、どの位の時間がかかるかの判断が難しい。
他の場面でも多々あると想定する。
だから、『大丈夫!ぼくできる!やってみる!』と見て判断ができる力を付けたいと取り組んできた。

今回も、これまでと同様、書くことの負荷を軽減するため、漢字を貼りながら覚える方法で、自作の問題は一枚ずつ切り離し、時間内でどれくらいできるか、内容と枚数を決めてもらいながら行う学習のやり方だった。
特別に変わったことはない。
何かあったのかなとお母様にうかがうと、最近、他の場所でも泣き叫んでしまうことが多いとのこと。

これまで、苦手な学習に向かう時にはこっそり準備したレゴを見せて、新しいレゴに気持ちを逃し、作りながら学習に取り組んできた。
最近は、家で過ごすことが多いため、家で製作した作品を持ってきてくれて、作品のことをあれこれ言いながら学習課題をこなしている。
昨日も大きな段ボールを抱えて来てくれた。

落ち着いた時に、抑制ができなくなり泣き叫んでしまった自分を責めるA君自身が、一番自分の気持ちの整理の仕方に苦しんでいる。
それを知っているから慎重に対応してきた。
泣き叫ぶのを『もう大きいんだから』と怒ったり制止したりしても解決にはならない。

 中学選択で、地元の中学でなく、精神的安定のもとで力を伸ばしてもらえることを期待して選んだ支援学校。
ここは、本人の困りに寄り添ってもらえる…と。
でも、能力が高いだけに、先生の要求が過度になり、抑えきれない気持ちを吐き出した。
そして、止められた時にアザができた。
同じ頃、他の機関でも吐き出すことが増えた。

 また、随分前のことだが、Bさんは中学校で不登校になり、すがる気持ちで支援学校高等部を選択した。
しかし、起立性障がいのため朝が起きられず、1コマ目の同じ授業が受けられず、補講の機会を設けてもらいながらも単位が足りずに留年。

 支援学校を最後の希望として選択している保護者の方の思いと、ここでならば自分が変えられると願って入る子どもたちの気持ちを理解して欲しい。
ここでならば、の思いを…。

 昨日は、泣き叫ぶ時間が長くなるだけ自分を責めるだろうと、『この中から3つ終わったら来てね』と言い渡し、お母様と退席。
最初はバタバタ音がしていたが、覗いて見ると、やってるじゃん!『やるに違いない!』という確信はあったけど。
あとは、私は作品をカメラで撮りながら、彼はモデルにしたYouTubeの動画を見ながら説明。いたって穏やかに。

 案の定、玄関で泣いた自分を責めていた。
『まあね、そんなこともあるよ』とさりげなく交わした。
お母様とふたり、笑顔で帰って行った。


理事長の川間です。
私は大学を卒業後、小、中学校の教員となりましたが、多感な年齢の学生と向きあいながら、様々な経験から『本音でぶつかることと本音を知ることが教育の原点』であることを学びました。
その後、専門性を身につけるため大学院で学び、養護学校で勤務することになり、この時の経験が今の私の原点となりました。
平成8年から現在のセンターの全身でもあるつばき教育研究所分室に専念し、多くの子どもたちやそのご家族、指導者の方、未来の指導者である学生さんに出会ってきました。
最近、これまで関わってきた方々から、嬉しい報告をいただくことが多くなったと感じているところです。
しかも、今日は3つも嬉しい報告がありました。

嬉しかったこと・その1

 1歳になり、お母様が職場復帰になるのに、まだ、母乳しか受け付けず、食物を見せると拒否していたお子さんが、初めて固形物をかじりました!
相談を受けたのが、職場復帰の一週間前!お母様も保育園の先生も焦り気味でした。
固形物も歯磨きも嫌がるので、口腔内の過敏を疑いました。
そこで、まず食事の時間以外の時間での口腔内の脱感作。
・口唇にジャムやマヨネーズ、ケチャップ等味の付いたものをちょっと付ける。
・最近、リズムに合わせて真似っこができるようになったので、食事場面でお友だちの様子を見せる。
・相手がお口に運ぶのでなく、手を使う機会を増やし、自分の手を使いお口に運ぶように促す。
そして先週、保育園に伺うと、お口に付けられても拒否がなくなっていました。
そして、ついに今日!嬉しい動画が送られてきました。

嬉しかったこと・その2

  非常勤で行っている大学で数年前に教えた学生が、卒業後、市役所の福祉課に勤めながら大学院にいっていることを知りりました。
今日、大学院の先生と共に大学に来たところにバッタリ出会いました。
大学院の先生に、『座学では学べないことを教えてくださった川間先生』と紹介してくれました。
学生時代、陸上部で毎日ひとりでコツコツ走っていた彼。
息子と同じ年で同じ陸上部で維新公園での大会でも応援しました!
今、福祉課で「何でそんなこと知っているの?」と聞かれているようです。
彼は教えたことをちゃんと伝えてくれています。本当にうれしい再会でした。

嬉しかったこと・その3

 FMやまぐちの収録に行くと、パーソナリティーのはるさんがすかさず『川間さんのおかげ!』と駆け寄ってこられました。
先月、小学校1年生ののお子さんがランドセル背負って雨具を着るのが難しいという相談を受け、ランドセルに雨具を着せてから、ランドセル背負って袖を通すことをお伝えしたところ、すぐに実践されたようです。
うまくできるようになって良かったです!


今年、特別支援学校に採用になった、フレッシュマンコースの受講生より、質問がありましたので、皆様へもシェアします。

現在の状況

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表出言語がなく(やや喃語あり)コミュニケーション手段の一つとして、身振りの獲得や、写真カード、絵カードでの要求表現、意思表現が出せるようになるを目標にしている児童がいます。
個別学習では、絵本や教師の動きをみて身振りを模倣したり、形や色の弁別課題や具体物のマッチング課題を通して見分ける力をつけ、具体物と絵カード、写真カードのマッチングにつなげられるようにと考え、指導を行なっています。
学校が再開し、1ヶ月程度、上記の学習を行なっており、繰り返しの学習の中で着々と力がついていっているのを感じています。(身振り表現もたくさん増えました!要求も少しできるように)
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フィードバックについての質問

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児童がよく見て見分けることができた時や、上手に模倣ができた時、頑張っている時などの声かけや称賛の言葉などを工夫して行い、褒めるということを意識して行なってはいますが、児童にとって、それが一番有効的なフィードバックにはなっていないような気がしています。
褒めるだけでは、集中力が続かず、あまり児童自身が達成感を得られてないのではないかと思いました。
例えば具体物のマッチング学習で、児童が同じものを同じ箱に入れなければならない意味づけみたいなものを感じられるようにするには、褒める以外にどういったフィードバックが必要でしょうか?
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フレッシュマンへのアドバイス

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まずは、フィードバックのことを考える前に、本人にとって達成感のある課題かどうかです。繰り返しのことばが気になります。
同じ教具を使っていても、ステップアップしているはずで、繰り返しの指導であっては、子どもにとって作業でしかありません。

学習は子どもにとっては思考力をそそるものでなければいけません。
呈示された課題を弁別する際に、何をどうすればよいかを考え、色、形等、何を基準に選択したらよいのかを判断しようとした表情が見られますか。
その時に、『それでいいよ、すごいね』とほめるのです。ほめるタイミングがズレると、正の強化子にはなりません。
まずは、行っている課題が簡単すぎないか、あるいは難しすぎて100%手伝っていないかです。

少し考えてできる課題を設定しながら、間違いそうになったら、さりげなく支援し、あたかも自分でできたように思わせるテクニックです。
ほめるは最大の強化子です。
まずは、実態と課題のズレ、そして、スモールステップでかかわっているかを見直してください。
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メッセージに対するコメント

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繰り返しの学習の中でも、見分けの個数を増やしたり距離を離したり、教材自体を変えて、教材間の違いが小さいものに取り組んでみたり、と行ってはいたのですが、児童にとってそれで達成感を得られているように感じない場合は、簡単すぎるのかもしれないなと思いました。
褒めることのタイミングがずれることで正の強化子にならないのですね。まだまだタイミング難しいです。
児童にとって、達成感を得られる、思考力を身につけられるような、少し頑張ればできる課題を考えてみます。
ありがとうございます!
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フレッシュマンは、これまで概念的に学んだことを現場で実践し、子どもたちの成長を感じながら、時に壁にぶつかりながら、一生懸命取り組んでいる様子がうかがえます。
指導者も学びと実践を繰り返し、経験を積むことで指導もブラッシュアップしていきます。
今日うまくいかなかった指導を明日の指導のために、悩み改善することは向き合っている子どもたちの未来を創ります。
私たち指導者はそのような思いで取り組むべきだと、フレッシュマンの質問に答えながら感じました。


今回は恒例となっています当センター主催のセミナーのご案内です。

新型コロナウイルスの影響により、3月から5月まで全国の公立小・中・高校を中心に休校が続いていました。
登校日に教科書を配り、課題を与えている学校もあったようですが、決して家庭学習がスムーズに進まない子どもたちもすくなくありません。
最近では「コロナ世代」という言葉も飛び交い、教育不足が心配されています。このような形で教育格差が生じることはあってはならないことですが、あるべきはずの教育のための時間が失われていたことも事実です。

今後、指導者は時間的遅れを取り戻しながら、確実に理解へと導く効果的な指導をすることが求めれています。
何かができるようになるための基礎的な力を身につけ、ミクロなステップを積み重ねることで、子どもの「できた!わかった!」へ導けるものです。
そのような効果的な学習指導法を当センターのセミナーで実施しています。
日々、子どもたちに学習指導されている指導者向けのセミナーですので、『理論的に学び、それを実演する』といったすぐに活用できる内容であり、保護者の方はもちろん、教育指導者以外の方でも大いに活用できる内容となっています。

今回のテーマは「文字の学習・レディネスから読む、書く、構成する」です。
まず、文字・書字につながる力の講義、指導法を学び、文字の学習指導を学んでいきます。
詳細はホームページの夏季セミナーのご案内ページでご確認ください。
今回は会場参加とオンライン参加に2つの方式でご参加いただけるようになっています。
会場参加は3密を避けるため、定員はいつもより少なく設定していますのでお早めにお申込みください。

夏季セミナーの詳細/お申込みはこちらをご覧ください。


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電話番号:0835-25-8808