算数の学習に必要な数の概念と語彙力
- Q.X,Yの文字の式の学習は、いつ頃行う学習でしょうか?
- A.今は6年生の内容です。以前は、中学校1年生の期末試験で出題される内容でした。
- Q.コンパスの学習はいつでしょうか。
- A.実は3年生です。指先の巧緻性がまだ巧みでない時にコンパスを使います。
- Q.そして時計の時間の学習は?
- A.1年生です。
コンパスを動かすことは難しい
コンパスは、非利き手で紙を抑えながら、利き手の指先だけで動き調整しながら、そして、目は終点を見ながら〇を書きます。
子どもたちはとても困っています。あるお子さんは、夜11時まで、ぐるぐる回す練習をしていました。
始点と終点が一致しないのです。
解決策
そこで、持つグリップを太くし、丸く溝を作り、ただ回す練習を行いました。みんなと同じ形のコンパスで書かなくても、丸く書けたら良いことを伝えながら…。
小学校の算数学習はスロースタートからのハイペース
小学校に入ると、算数では、まず、絵に描かれたものの数を数えることから始まります。スロースタートです。
しかし助走はスローでも、途端にハイペースになります。その加速度に付いていけない子どもたちが多いですね。
入学前の準備が必要
1年生の1学期中旬には、10の補数、たし算ひき算の文章題、2学期に入ると1桁同士の繰り上がり繰り下がりのひき算へ。
2年生では、縦式に入ります。その前に、縦式にした方が解きやすいような、28+3=なんて繰り上がりの問題も・・・。
そのペースに付いていくためには、入学前にすでに数の概念、簡単な文章題をこなせる語彙力が必要となります。
【数の概念】物をかぞえる・・・数えることができるためには
- 数詞 いち・に・さん・・・のことばを知っていることと、順序良く言えること
- 数字 1,2,3の記号が数を表す記号であること
- 数対象 〇〇〇を数える時、1つの対象にひとつのことばが対応できることと、数える対象をまとまりとして目でとらえること。数えたところを覚えていること。
数の対象をひとつずつ目で捉えながら、数詞を対応させていきます。そして最後のことばが順序数で一番大きい数であったり一番多い量であったりすることを理解していきます。
4歳頃、数の保存の概念を獲得します。これは、下の絵のように、配置が違っても、大きさが違っても同じ量であることがわかることです。
どっちが多い?と聞くと、最初は空間が広い方が多いと感じます。徐々に空間や対象の大きさにとらわれることなく理解していきます。
【数の概念】ことばの理解
ことばの理解も必要です。多い=大きいと言ってしまう子どもたちもいます。
また、りんごもくるまも「いっこ」と言ってしまう子どもたちもいます。
「あわせて・みんなで・ふえると」「へると・なくなると・ちがいは」などの立式につながるキーワードのことばの意味が理解できない子どもたちもいます。
文章題を行うにあたって、これらの力も要求されます。家庭でも生活の中で意識しながら使うことも大切ですね。
算数の学習のためのセミナー開催
センターでは、2019年3月に開催しました春季セミナーで、数の概念から数えること、たしざんにつながる数の分解・合成について、演習を行いながら進めてきました。
1日では終わらないほどの内容でした。「たかが数える」だけと思われるかもしれませんが、半日かかっても教え方を学ぶのは簡単なことではなく、子どもが理解するのに時間がかかる内容なのです。
2019年7月開催の夏季セミナーは、文章題、繰り上がり・繰り下がりの学習の教え方と子どもの学び方を2日間かけてお伝えします。繰り上がり、繰り下がりの内容は、実際お持ち帰りの教材を使用します。
夏季セミナーの詳細は随時メルマガ、Facebookページ、ホームページ等でお知らせしてまいります。
どうぞ、チェックしてみてください。